2016年10月28日金曜日

商法が改正されるようです

司法書士の岡川です。

地味に新聞等で報道されているのですが、商法が大きく改正されるようです。

以前もちらっと書いたことがあるのですが(→参照「六法全書と六法」)、「商法」という法律は「六法」のひとつに数えられ、基本的でかつ重要な法律のひとつです。

商法は商事に関する一般法であり、「商人」や「商行為」についての総則的なルールが規定されているのが商法ですので、商法なしには会社法も語れません。


もっとも、現行商法は、一昔(二昔くらいかも?)前とは大きく異なっており、六法の一員としてもてはやされていた、かつての栄光は失われかけています。
というのも、かつて商法に規定されていた多くのルールが独立し、個別の法律として制定されているからです。


手形や小切手に関する部分は、昭和初期に手形法と小切手法に持って行かれ、2005年には会社法が制定されたことで、会社に関する部分がごっそりと持っていかれ、2008年には保険法が制定されて保険に関する部分が消えました。

こんなふうに独立の法律ができた部分が削除されていった結果、現行商法がカバーする領域は、だいぶ狭くなりました。


春秋時代の周王朝みたいなもんですね。


条文数としては、パッと見は851条まであるんですけど、実際の条文数はそれよりはるかに少ない。
スッカスカです。

どれくらいスッカスカかというと、例えば33条から500条はありません。
もともと会社に関する条文があったんですが、前述のとおり会社法に全部持っていかれたので、まるっと全部削除されています。
この段階で既に500カ条くらい水増ししてることが分かります。


今でも残されているのは、「第1編商法総則」「第2編商行為」「第3編海商」です。

海商だけ浮いてる感じがしなくもないですが、現行商法の成り立ち(もともと広い範囲をカバーしていた法律から、色々と独立していった残りが現行商法)を考えれば仕方がないことです。


で、その浮いた感じの「海商」と、商行為の中にある運送関係の規定を中心に、このたび商法が改正されることになりました。
具体的にどう改正されるかは、まあ、日常生活にはあんまり関係ないから、運送関係の仕事をしている人だけ注目してればいいんじゃないかな。
(大きなところでは、商法制定時に存在しなかった航空運送の規定が新設されるとか。時代を感じますね)

それと、この機に、一部残っていたカタカナ交じりの条文が全部口語化されるそうです。
古い法律は、最近の法律と違って漢字とカタカナで書かれているのですが、商法にもカタカナ部分が残っています(第3編は全部漢字とカタカナで書かれています)。
それも、いわゆる「文語」ですので、慣れないと何を書いているか非常にわかりにくい。

民法や刑法などは既に口語化されているので、主要な法律では商法だけ取り残された状態でした。

それが解消されるとのことです。
ちょっと寂しい。


そうそう。
あんまり関係ないんですけど、商売をする人のことを「商人」といい、法律上は「自己の名をもって商行為をすることを業とする者」と定義されています。

この「商人」という言葉の語源なんですけど、前述の周に倒された殷という国がありまして、殷は商とも呼ばれていたのですが、その「商の人」を指す「商人」(この場合「しょうひと」と読む)という言葉が転じて「商い(あきない)をする人」の意味になったとかいう説があるんですね(あくまで一説です)。
商の人(子孫)は、行商で生計を立てる人が多かったとかなんとか。

真偽不明ですけどね。


では、今日はこの辺で。

2016年10月18日火曜日

【告知】平成28年度司法書士筆記試験合格者へ【大阪】

司法書士の岡川です。

告知が連続になりますが、今日は、今年新たに司法書士資格を取得される(であろう)皆さんへのご案内。


今年の司法書士試験筆記試験の合格発表があり、筆記試験の合格者は口述試験も終わってほっと一息ついているところだと思います。

この後、12月からは息つく暇もなく怒涛の新人研修ラッシュが始まります。
しかも、この申込期間はすぐに始まり、締め切りも意外と早い。

最後の安息の日をゆっくりと過ごすのもいいですが、直前になって慌てないように、今から情報収集をしておきましょう。

大阪で合格した人(あるいは、大阪での開業を予定している人)は、大阪司法書士会のホームページで、新人研修の情報が公開されています。
要チェックです。

平成28年度司法書士新人研修等のご案内

このページの一番下にも載っていますけど、最終合格発表前ではありますが、今週の土曜日(10月22日)に筆記試験合格者を対象として、今後の流れや、就職のこと、司法書士としての将来のこと等についての新人ガイダンスが開催されます。
主催は大阪青年司法書士会(主に45歳以下の若手司法書士を中心に活動している任意団体です)。

今年の最終合格発表はまだですが、口述試験は99%合格する試験です。
基本的には、筆記試験合格者は、最終合格発表を待たずに新人研修の準備に入っておくことをお勧めします。

まずは軽くこのガイダンスに参加して、新人研修を前に心の準備をしておくと良いと思います。


案内と申込書はこちらからダウンロードできるようにしておきました。



締め切り過ぎてますけど、今からでもまだ間に合うので、 「やべぇ!最終合格前だから油断してた!」って人は急げー!

ちなみにこのガイダンスには私も参加します(賑やかし要員ですけど)ので、見つけたら気軽に声かけてくださいね!


では、今日はこの辺で。

2016年10月5日水曜日

【告知】「知って安心!遺言と成年後見制度」【高槻市】

司法書士の岡川です。

今日は高槻市在住の方へ、市民向け成年後見制度説明会(と無料相談会)のご案内です。


開催日:平成28年11月19日(土)
開催時間
・法律講座 午後1時~3時
・法律相談 午後3時~5時
開催場所:高槻市立総合市民交流センター(クロスパル高槻)
法律講座テーマ 
・「相続と遺言~私の大切な人へ私がのこすもの~」
・「これから始める成年後見」
申込:法律講座は申込不要(先着100名)、法律相談は事前申込優先
参加費:無料
主催:大阪司法書士会、成年後見センター・リーガルサポート、高槻市(共催)
後援:高槻市社会福祉協議会
北摂地域(高槻市、茨木市、吹田市、摂津市、島本町)で開催している、毎年恒例の一般市民向けのセミナーですが、今年は高槻市で開催です。
私も、講師の1人として登壇します。

会場は、JR高槻駅の近く(線路沿い)のパスポートセンターが入ってる建物です。

クロスパル高槻

成年後見制度の利用を検討されている方、具体的にはまだ検討していないけど気になっている方など、参加費無料、予約不要ですので、ぜひお気軽にご参加ください。

また、セミナーの後は無料相談会も開催されます。
こちらは事前申し込みが優先されますので、ご了承ください。

詳しくは、こちらからチラシをダウンロードしてください。


では、今日はこの辺で。