2015年2月16日月曜日

「入籍」の意味

司法書士の岡川です。

芸能ニュースなんかを見ていると、誰かと誰かが結婚した場合、よく「入籍した」と言われます。
「結婚」というより、何となく「お上品」な響きだから使っているのか何なのか知りませんが、婚姻届を出したら「入籍」というイメージですね。

しかしですね、入籍と結婚は(被っている部分もあるが)全く別なのです。

入籍というのは、読んで字のごとく、「籍に入る」ことをいいます。
籍とは戸籍のことですね。

「入る」というからには、既に戸籍があって、そこに新たな人物が加わるということ。

このことからも分かると思いますが、典型的な入籍の原因は「出生」です。
この場合、「ご入籍おめでとうございます」というお祝いは、生まれてきた赤ちゃんに言うことばだということになりますね。

養子縁組というのも、多くは(未婚者であれば)養親の戸籍に入るので、これも入籍です。

この場合、「今日、○○さんと入籍しました♪」という報告は、○○さんの養子になったという意味になりますね。



では、結婚したらどうなるか。

多くの場合(特に初婚の場合)、結婚すれば、新しい戸籍が編製されます。
結婚すると、「入籍」するのではなく「新戸籍編製」するのです。

「結婚」と言わないのであれば、きちんと、「新戸籍編製おめでとうございます」とか「今日、○○さんと新戸籍編製しました♪」というべきなのです。

ただ、本当に「入籍」する場合もありまして、婚姻前に戸籍の筆頭者となっている人(例えば、一度結婚して離婚した場合など)と結婚して、その人の姓を名乗る場合であれば、その人の戸籍に入る(=入籍する)ことになります。
この場合は、新しい戸籍を作るのではなく、既存の人の戸籍に入ることになりますので、「入籍」でよいのです。


昔の戸籍では、女性が結婚したら男性側の「家」の戸籍に入っていたので、「結婚=入籍」でした。
結婚のことを入籍というのは、おそらくこの名残なのでしょうが、現行の民法や戸籍法では、「夫婦と未婚の子」を家族の最小単位としていますので、結婚したら親の戸籍から抜けて夫婦で新しい戸籍を作ります。
基本的には、「入籍」はしないのです。


戸籍事務では、「入籍届」というのもきちんと存在します。
しかしこれは婚姻届ではありません。

結婚するときに「入籍届」を出しても受理されませんので、注意しましょう。

では、今日はこの辺で。

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