2014年12月15日月曜日

親告罪について

司法書士の岡川です。

著作権の話が続いていますが、ちょっとここで話題を変えて刑事訴訟の話でも。

犯罪者を処罰するには、捜査機関(主に警察)が捜査し、検察官起訴(公訴を提起)して、裁判所が有罪判決を言い渡す、というプロセスをたどります。
日本では、犯罪者を訴追する権限を有するのは、原則として検察官だけです(いくつかの例外はありますが)。
これを起訴独占主義といいます。

起訴独占主義の下では、たとえ犯罪の被害者でも、私人が直接犯罪者を訴追することはできませんが、その代わり、検察や警察に対して、犯人を起訴するように訴えることが可能です。
これを告訴といいます。

基本的に、告訴がなくても検察は必要とあれば起訴します。
また、告訴があっても検察が必要ないと考えれば起訴しません(これを起訴便宜主義といいます)。

ただ、犯罪の中には、「告訴がなければ公訴を提起することができない」と規定されているものがあります。
そのような犯罪を「親告罪」といいます。

犯人が起訴されること自体が被害者にとって不利益を及ぼすような罪(一部の性犯罪等)や、一般的に被害が軽微な罪(器物損壊罪等)は、罰則規定とともに「告訴がなければ公訴を提起することができない」と規定されています。


著作権著作者人格権の侵害行為にも罰則が規定されていますが、これも親告罪とされています(著作権法123条)。
著作権侵害行為に対して、処罰を求めるかどうかは、著作者の意思を尊重することになっているわけです。


親告罪は、告訴がなければ犯罪が成立しないわけではなく、犯罪成立の要件は満たしています。
観念的にいえば、犯罪は犯罪です。
ただ、手続上、告訴がなければ起訴されず、起訴されなければ有罪になることもないということになります。

では、今日はこの辺で。

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