2014年11月20日木曜日

空き家問題

司法書士の岡川です。

衆議院の解散が決まったこともあり、バタバタと色んな法案が駆け込みで成立しています。
例えば・・・サンゴの法案とかですね。


その中で、あまり法案としてはクローズアップされていないのですが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家対策特別措置法)という法律も成立しました。
近年大きな社会問題となっている「空き家問題」に関する法律です。


実は日本では、少子高齢化、核家族化などの影響により、全国的に「空き家」が増えていまして、空き家数は年々増加の一途をたどっています。

平成25年の総務省の統計では、全国で空き家の数は820万戸(総住宅数に対する空き家率は13.5%)、大阪だけでも67.9万戸(同14.8%)に上っています。
これらの空き家が、ただの「入居者募集中の賃貸物件」であれば良いのですが、所有者や相続人によって適切に管理されていない空き家も多数存在し、安全・防犯・景観・都市計画などに重大な悪影響を与えています。
例えば、倒壊や火事の危険、溜まり場になるなどの問題が起こっています。

そういう適切に管理されていない空き家が増えているという問題を「空き家問題」といいます。

実は、大阪司法書士会でも、数年前から「空き家問題対策検討委員会」という専門の委員会が設置されて、空き家問題に取り組んでいます。

地方の条例レベルでは、空き家対策に使える条例も次々と作られ、何らかの対策を行っている自治体もありますが、空き家の解消を強力に推し進めることができるような条例は多くありません。

空き家を解消するには、所有者や管理者が分からない建物については行政が強制的に管理・処分できるようになれば一番ですが、空き家とはいえ個人の財産ですので、財産権の不可侵性(憲法29条)や「所有権絶対の原則」のこともあり、なかなか簡単なことではありません。

今回成立した法律では、行政が空き家の所有者の把握をしやすくしたり、空き家の活用を推進するほか、倒壊の危険がある空き家の取壊しをしやすくなるような規定も盛り込まれています。

この法律だけで一気に空き家問題が解決するようなものではありませんが、空き家の活用も含めて、行政と民間と法律家が連携して問題の解決に向かっていけばいいですね。


では、今日はこの辺で。


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