2014年11月14日金曜日

分譲マンションの権利関係

司法書士の岡川です。

だいぶ前になりますが、「一物一権主義」という原則をご紹介しました。
これは、物権に関する次の2つの性質を表しています。

「同一物に対しては、同一内容のの物権はひとつしか成立しない」(排他性)
「ひとつの物権の客体は、ひとつの独立した物である」(単一性、独立性)


さて、皆さんの中にも、マンションを所有している方もおられるでしょう。

マンションの建物一棟を丸ごと所有して他人に賃貸しているという方もいるでしょう(マンション全部自分で使っている人も中にはいるかもしれない)が、多くの「マンション所有者」は、「分譲マンションの一室」を所有しているような人たちをいいます。

所有権とは、物に対する全面的な支配権であり、その物を自由に使用収益し、処分することができる権利です。
そして一物一権主義によると、所有権は対象物の全体に及ぶ(独立性)はずです。

しかし、多くの「マンション所有者」は、マンションの所有者(所有権を有している人)なのに、一棟の建物の全体のどこでも自由に出入りしたり、自由に使えるわけではありません。
基本的には、マンションの中の一部分だけしか自由に使えません。
試しに、無断で隣の家に入ってみましょう。
きっと捕まります(不法侵入ダメ。ゼッタイ。)。


では、マンション所有者の皆さんは、何を所有しているのでしょうか?
どういう権利を持っているのでしょうか?


一つの物について、複数の権利者がいる場合といえば、「共有」という概念があります。
家を夫婦の共有名義で所有している方もおられるでしょう。

しかし、共有は、「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」権利です(民法249条)。
マンションを共有しているのだとすれば、隣の家も持分割合で使用できるはずです。
マンション所有者が一棟の建物を共有していると考えることは実態に合っていません。


ここまで回りくどい説明をしてきましたが、答えをいいますと、分譲マンションの一室を購入したマンション所有者は、端的に「マンションの一室」に対する所有権を有しています。

「そのまんまやんけ!」と思われましたか?
はい、結論としては「そのまんま」なのです。


しかし、一物一権主義を前提にすると、「一棟の建物の一部」であるマンションの一室だけの所有権というのは、決して当然の話ではありません。

これを可能とするのが、「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)という法律があるからで、この法律の1条に「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。」と規定されているからです。


このような、マンションの一室を対象とする所有権を「区分所有権」といいます。
そして、区分所有権の対象となっている「マンションの一室」を「専有部分」といい、それ以外の部分(廊下とか)を「共用部分」といいます。
で、マンションのような、区分所有権が認められている建物を区分所有建物といいます。


区分所有建物の権利関係については、色々と書くことがあるので、一気に書くと大変なので、またちょくちょく書いていこうと思います。

マンション購入の際の参考に是非!

では、今日はこの辺で。


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