2014年7月23日水曜日

過料についてもう少し詳しく

司法書士の岡川です。

昨日は罰金とかの話をしたので、ついでなのでもう少し「過料」について続けようと思います。

「過料」は、犯罪に対する制裁である「刑罰」ではなくて、行政上の秩序罰で、罰金や科料(この2つは刑罰)とは区別されます。
法律マニアである皆さんは、「過料」という文字を見て、自然と「あやまちりょう」と読むようになっていることでしょう。

まあ、私は「かりょう」と読みますが。


それはさておき、行政上のルール違反に対して、刑事訴訟手続に乗せずに「金払え」と命じるのが過料なわけですが、では、具体的には誰が命じるのか。

例えば、会社法には、登記懈怠(しなければならない登記を申請しない)や役員選任懈怠(役員が必要数足りていないのに後任者を選ばない)などに対して「過料に処する」と規定しています。
「処される」のは、実は会社という法人ではなく取締役等の個人なのですが、それは置いといて、「処する」のは誰でしょう。

登記官?
法務局長?


実は、過料事件というのは原則として裁判所管轄の手続なのです。
だから、処するのは裁判所。

「えっ、さんざん行政や行政や言うときながら裁判所て・・・」と思われるかもしれません。
確かに過料を科すこと自体は、性質的には行政処分であると解されています。
とはいっても、強制的に金を徴収する制度であることに鑑みて、中立的な立場の裁判所が担当することになったわけです。
裁判所というのは、必ずしも純粋に司法作用だけを担当しているわけではないのですね。

刑罰を決めるのではないので、原則として刑事訴訟手続ではなくて非訟事件手続法の規定に基づきます。
訴訟じゃないから「非訟」です。
まあ、刑事訴訟手続の中で過料が科される場合の規定は刑事訴訟法にあるのですが、そういう細かいツッコミはとりあえずスルーで。

というわけで、どのような内容(金額)の過料に処されるかは、管轄裁判所の裁判(性質としては「決定」)によることになります。
そして、過料の裁判を執行するのは検察官です。キムタクです。


ただし、地方自治法にも過料の規定がありまして、条例や規則(地方公共団体の長の命令)に過料の規定を設けることができます。
条例違反に対して過料の処分をする権限を有するのは、地方公共団体の長とされています。
知事とか市長ですね。


こちらの記事も併せてどうぞ→「過料」の意味と執行方法


というわけで皆さん、過料について詳しくなったところで、過料に処されないよう、ルールは守りましょう。

では、今日はこの辺で。


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