2014年4月28日月曜日

はがきで来る法律(っぽい)文書は全部嘘

司法書士の岡川です。

最近、ちらほらとケータイに架空請求メールが来るようになりました。
もちろん、無視するのが正解なので、さくっと削除して終了なのですが、架空請求は、はがきで来ることもあります。
直接何かを請求するというか、早く連絡しないと大変なことになりますよ的な文面です。
以前、私の家にも来たことがあります。

岡山県内で不審はがき急増 「料金未納で提訴」と架空告知
「訪問販売会社への料金未納で提訴されている」などと架空の告知で不安をあおり、電話連絡を求める不審なはがきが岡山県内で出回っている。県消費生活センターによると、3月から相談件数が急増しており、詐欺の可能性もあるとみて警戒を呼び掛けている。
こういう例は、岡山に限らず全国であると思うので、私からも注意喚起しておきましょう。


まず、「料金未納で提訴 はがき」で画像検索してみると、出るわ出るわ。

民事訴訟通達管理事務局
全国消費者通告センター
全国紛争処理支援センター
仲裁相談センター
法務局認定法人日本消費生活センター
法務局共同事務センター
国民財務管理事務局
全国消費相談支援センター
民事執行管理センター
全国情報管理室
(以下追加)
民事訴訟管理センター
いやぁ、皆さん頑張ってそれっぽい名前考えてますね。
方向性を間違った努力、なかなか微笑ましいことです。

これらは、全部デタラメな団体名ですので、こんなとこから来たはがきは全部破棄してよいです。



その文面を読めばデタラメであることが一目瞭然で、これを真面目に書いてる姿を想像すると笑えてくるシロモノばかりなのですが、急に来たらびっくりする方もおられるでしょう。
しかし、ちょっとした知識があれば、おかしいことがすぐわかります。

本当に訴えが提起されていたら、裁判所から直接訴状が届きます。

その前に別の機関から何らかの書面が届くことはあり得ません。
なぜなら、訴状が提出されたことは、裁判所しか知らないから。

そして、裁判所からの重要な郵便物は、「特別送達」という特殊な郵便物になってきます。
必ず、裁判所の封筒に、「特別送達」と印字されており、かつ、書留郵便となっています。
本人に手渡しなので、郵便のおじさん(お兄さん)に「ここにフルネームでサインお願いします」とか言われます。

裁判所からの書面が、はがきで、郵便ポストの中に放り込まれることは絶対にありえません。


上記のような面白ネーミングの団体から来るはがきには、だいたい次のようなことが書かれています。

・あなたに対する訴状が提出された
・我々は、正当性を確認するために通知している
・あなたから連絡がない場合、裁判所から呼び出し状が来る
・呼び出し状が届くと、出廷しないといけなくなり、出廷しないと差押えされる

確かに、本物の訴状が届いて、それを無視していれば敗訴してしまい、場合によっては差押えをくらうことはあるのですが、それは、訴状が届いたときに対処すべきことです。
届いてからでも十分間に合うくらい余裕はありますし、よくわからない謎の団体に連絡したところで意味がありません。

そもそも、訴状も届かないのに、対応しようがありません。
その訴状は上記の通り書留郵便で来ますから、届いたら確実にわかります。

本当に訴えられたなら、訴状が届くのを待ってから、近くの司法書士事務所なり弁護士事務所に駆け込んだらよいのです。
訴状も届いていない段階で焦る必要は全くありません。

というわけで、裁判関係の書類は、裁判所からの正式な手紙を待ちましょう。
それ以外は、嘘です。

ただし、税金とか年金とかの書類ははがきで来ることがあるので、そちらは慎重に。

では、今日はこの辺で。

0 件のコメント:

コメントを投稿